
「こんなに気を遣ってるのに、どうしてまた機嫌を損ねるんだろう…」
「自分ばかりが我慢してる気がする…」
HSPの妻との暮らしの中で、そんな風にモヤモヤを抱えることはありませんか?
実は、私もそうでした。
繊細な妻に対して、こちらも気を配っているつもりなのに、なぜかすれ違ってしまう。
そして、溜まった感情が「イライラ」として表に出てしまう――。
今回は、そんな負のスパイラルを断ち切るために、「イライラの正体」に目を向けていきます。
イライラは“期待”の裏返し
ある日、私は妻に「言い方がきつかった」と指摘されました。
でも、その時は「そんなつもりはない」と反射的に否定してしまったのです。
その後、妻が部屋にこもってしまい、私はひとりソファに座ってこう思いました。

…こっちだって我慢してるのに。なんで伝わらないんだよ
でも、時間が経つにつれて、ふと気づいたんです。
「なんで伝わらないんだよ」と思っている時点で、私は“伝わるはず”という期待をしていたんだと。
イライラって、「こうあってほしい」という理想と、目の前の現実が違ったときに生まれる感情なんですよね。
「察してくれるはず」
「我慢してくれるはず」
「同じように考えてくれるはず」
でも、HSPの妻は、そもそもの「感じ方」や「反応のしかた」が私とは違います。
違って当たり前なのに、それを“ズレ”と感じてしまう。そこにイライラが生まれていたのです。
小さなすれ違いが積み重なる日々
例えば、仕事で疲れて帰ってきた日。
「ただいま」と言ったのに、妻の返事が小さくて、そっけなく感じたときがありました。

なんで今日そんなに冷たいの?
え?そんなつもりはなかったけど…

その時、私は「冷たくされた」と思い込みましたが、後から妻に聞いたら、彼女は人混みで疲れ切っていて、心の余裕がなかっただけだったんです。
HSPの妻は外部からの刺激にとても敏感です。
日中に誰かと会ったり、外出したりするだけでも、心身のエネルギーがかなり消耗してしまいます。
にも関わらず、私は「今日も元気なはず」と勝手に期待してしまっていた。
つまり、「前と同じように接してくれるだろう」と思っていたんです。
でもHSPの妻は、“その日のコンディション”によって反応がまったく違うんです。
この気づきは、私にとって大きな転換点でした。
私が実践した“3つの見直し”
① 毎日、妻の「表情」と「空気感」を観察する
疲れてそうな日は、声をかけるトーンを柔らかくしたり、「先に休んでていいよ」と言うように意識しました。
すると妻の反応も、以前よりも穏やかになり、ちょっとしたすれ違いも減っていきました。
② 「前と同じだから大丈夫」はNGと自覚する
同じ言葉でも、昨日と今日は“受け止められ方”が違う。
だから、「昨日は笑ってたのに、今日はなぜ泣くの?」と考えず、「今日は今日の感受性なんだ」と思うようにしています。
③ 妻の“反応”に過剰に反応しない
昔の私は、妻のちょっとした不機嫌や涙に「自分が悪い」と思って反応していました。
でも今は、「この涙は“刺激の受けすぎ”のサインかも」と、少しだけ俯瞰して見るようにしています。
もちろん寄り添う気持ちは大事ですが、巻き込まれすぎないことも必要です。
アイとの会話から得たヒント
ある夜、思い切って妻にこう聞きました。

俺、無意識に「こうしてくれるはず」って思ってたのかも
うん、たまに“求められてる気”がして、プレッシャーになることあった

この一言で、目が覚めました。
妻は決して私を拒絶していたわけじゃなかった。
ただ、“期待”に応えようとしすぎて、しんどくなっていたんだと。
そこから私は、妻に対して「こうしてほしい」より「今日はどうしたい?」と聞くようになりました。
その変化が、二人の関係に安心感をもたらしたのです。
まとめ:「期待しすぎない」ことは、諦めることじゃない
「期待を手放す」という言葉を聞くと、どこか寂しく感じるかもしれません。
でも実際には、“こうしてくれるはず”という枠を外すことで、相手の本当の気持ちに目を向けられるようになるんです。
そして、イライラの正体が「自分の中にあった期待だった」と気づくことで、気持ちは驚くほど軽くなります。

今日はどんなふうに過ごしたい?
うーん、静かにお茶飲みながら、漫画読めたらうれしいな

そんな会話ができるようになった今、私たち夫婦は、すれ違うことがあっても、「歩み寄る」ことができるようになってきました。
HSPの妻との暮らしは、“繊細”という個性に寄り添うことで、お互いの心を豊かにする可能性を秘めています。
イライラの奥にある「こうあってほしい」を一度手放して、妻の“今”に向き合ってみませんか?
次回予告:心の奥にある本音に気づく
妻にイライラしてしまう自分を責める日々。
でも本当は、そのイライラの奥にあるのは「わかってほしい」という切実な想いでした。
次回は、夫側の本音――「小さなことで怒ってしまう自分」に向き合うヒントを、私自身の葛藤とともにお届けします。
HSPの妻との暮らしを続けていく中で、心の中にたまっていく“見えない疲れ”に、少しずつ気づいていきましょう。